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あの事件以来、ここく号は出航できずにいます。
あの投稿を思いのほかみなさんが見てくれていて、会う方会う方に「大丈夫なの!?」とか、「ダメよ!命が大切よ!」と諭されたりで、本当にありがたいことだなと日々生かされていることに感謝です。
ストーリーではご報告していましたが、ウエットスーツに錘(おもり)をつけて真冬の海に潜るなど自殺行為と分かり、ダイバーさんにお願いしてロープは切ってもらいました。
色々大変な思いをしましたが、私はだいぶ船と仲良くなった気がします。
どうしても、男性は根性論のようなものが体に染み付いていて、石橋を叩いて渡るよりとにかく当たって砕けろ!みたいな選択をしがちです。
エンジンオイルを交換してくれたエンジニアの方に、沢山機関のことを教えてもらいましたが、随分無知なまま出航していたことを悟りました。
そして、船ともまだ仲良くなってなかった。他人の船に乗っているような感覚で操舵していたから、少しでも親しくなれるよう、小さな船室に寝そべってタンタンタンと鳴るエンジン音を聞いていました。
知りうる限り、たぶん、僕が3人目の持ち主。もしかしたら4人目かな。この小さな船室には小さな神棚が据えてあります。
この船は今まで誰とどんな景色を見てきて、どれだけ想い出があるのでしょう。夜中に出航したこともあっただろうし、海がしけって命からがらに帰ってきたこともあったはずです。
私にとっては大先輩。大きな胸を借りるつもりで、でも早く体の一部になるように、新米船長とここく号のやりとりはまだしばらく続きます。
次は船を停泊するためのアンカーロープの位置をやりかえて、万全の準備で出航します。慌てないこと、そして根性論で自分の背中を押さないこと。
いい年してたくさん学んでいます。
#沖の潮