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2015.12.5

「ビタミンEは抗酸化作用がありますのでガンや心疾患の予防に最適です」

そんな風に言われて疑う方はいないのではないでしょうか。実際現在も栄養学をはじめとする教科書にはこう書かれていて、栄養士さんが書く学校の給食便りや、スーパーの店頭POPに記載されていたりします。

こういった科学的な効能の話は普段の生活の中でたくさん耳に入ってきます。でもほとんどの人が化学については詳しくわからないのでそのまま鵜呑みにするしかありません。カタカナで書かれた物質名も「多分効果あるんだろうな」と思うしかないのが現状です。

私も出店などでお客さんとお話ししていると「麦はどう体にいいのか」と聞かれることがあります。

麦の効能をたくさん説明しているサイトも多いので、どのようなことが言われているのかはおおよそ知っています。でも私はあえて「すみません、その辺はあまり詳しくないです」と謝っています。ここくの商品紹介ページでも一切そういったことには触れていません。

触れていないというより、触れないようにしています。
そのきっかけは一冊の本でした。

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“ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想” 畝山 智香子 著

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この本に書かれていることは当時「効能」ばかりを気にしていた私にとっては衝撃的な内容でした。

ビタミンEはむしろ死亡率を高める・・・かも。

あれだけいろんなところで言われているビタミンEが、細胞/動物レベルでの実験ではよかったのに、実際に人で行われた実験を統計的にみてみると、ビタミンEを積極的に摂取している人のほうが明らかに死亡率が高まったということが書かれていました。

(本当はこういったことを書くときは注釈などきちんと添えなければいけないルールですが、あえて簡単に書きます。詳しくは著書、もしくは下記のWebサイトをご確認ください)

同じ内容はこちらの記事にもさらに詳しく書かれていました。
「ビタミンEの大量摂取は、危ないかも」|FOOCOM.NET

こんなの初めて聞いたよ!という方がほとんどだと思います。いい話はたくさん聞くけれど逆に悪い話が全然聞こえてこないってそもそもおかしいですよね。。。

考えてみれば、こういった「◯◯に効く」という「効能」は、企業が商品を売るために研究費を出資して行われた実験を根拠にしていることが多いです。もちろん、せっかく出資しているわけですからマーケティング的に有利な結果を導き出してもらわないと困るわけで、「こういった報告があります」として「根拠」をつくり「◯◯に効く」とか「◯◯に効果があるという報告があります」とお墨付きをいただいて売り文句にしている。逆に、不利になるような実験はそこに出資する人がいないからなかなか行われることはない・・・

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しかしそもそも「化学」はどれだけあてにできるものなのでしょうか。

先の著書の中で畝山さんは「天然ほど危険なものはない」と化学者の立場でおっしゃっています。なぜなら、天然にはどんな化学物質が入っているのか、化学の力をもってしてもわからないのだと。。。DNAの解析までしているのにこれは意外でした。トマト一つとっても、その中に含まれている成分、おそらく何万種類という物質全てを抽出・分離して調べることなど皆無で、さらにそこに含まれている酵素が人間の体の中に入ってどのような物質と結びつき、どのように変化し、体の中のどの部分にどのように働きかけるのか・・・言われてみれば調べられるはずがありません。

著書の中では「何が入っているかわからない天然よりも、何が入っているか分かっている無機的な化学物質のほうが天然よりも安全だ」という面白い意見が書かれていました。

そしてこのことは、その中のたった一つの物質を取り出して「◯◯が効く」といっていることにどれだけ意味があるのかということも示しています。天然には効能が期待される物質以外に「体に悪い」と思われる物質も当然入っているわけで、そういったことを私たちはどのように捉えるべきなのか。化学者にそんなことを言われてしまうとハシゴを外されたように途方にくれてしまいます。

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しかしその答えは意外に簡単でした。

「まんべんなくいろいろなものを過不足なく食べること」

そうすることでそれぞれの食べ物に入っている危険物質を大量に摂取する危険から逃れることができるーーーこの当たり前のような、なんとも化学的でない答えが化学者に共通する「食の安全」なのだそうです。あんなに効能に振り回されていた私たちを尻目に、化学者は冷静に当たり前のことをいっています。

「効能」の実態はこんな不確かなものであるといったことをどれだけの方が理解しているでしょうか。

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こんな状況にもかかわらず、平成27年4月から「機能性食品」というのがはじまりました。

消費者庁:機能性表示食品に関する情報

これまではこういった「効能」を書くときは薬事法により断定的な表現で「効果があります」とは言えませんでしたが、この機能性食品の制度を使えば断定的な表現が「事業者の責任において」認められるというのです。化学的な効能を謳い文句にすると「不健康」を自覚されているほとんどの人にとって魅力的な商品になるので今後こういったものがたくさんあふれてくるでしょう。

ここくはいつ翻るかわからないような不確かな実験結果に責任がもてません。したがって今後もこういった「効能」について触れることはないでしょう。

農薬や添加物などを一切使用しないのも、それが化学的に危険だからということではありません。あえて化学的な言い方をすれば「先人たちが食べてきて問題なかったのが何より安全の根拠だと考えている」からです。

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写真のお赤飯はこの小豆の種をくれた近所のお母さんにいただいたもの。もちろんこの中に入っているのもその小豆です。夕方たまたま道端で話していたとき「ちょっと作ったからわけてあげるわ」ともってきてくれました。

私に種をくれたお母さん

このおいしそうで温かな赤飯に「効能」を求めるでしょうか。値段でもなく、味でもなく、見た目の美しさでもなく、私が食べたのはあのおかあさんが作ってくれたお赤飯なのです。

こんな心が豊かになる食が本当に少なくなってしまいました。いろいろなものを食べるだけでなく、心豊かに食べることがきっと一番いいと私は思います。

まだまだ「効能」に振り回されてしまっているたくさんの方に本当に大切なことに気づいて欲しいと願いながら、ここくはこれからもいろいろな何気ない日常の風景や出来事をお伝えしていきます。

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滋味はこころの豊かさに


2015.12.08人と麦と微生物

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