2013.4.25

この大豆の種を譲ってくれたのは、土呂久(とろく)に住むシンイチさん。土呂久(とろく)は天孫降臨の地で知られる宮崎県高千穂町にあり、椎葉村と並んでとてもとても山深いところです。自然の恵みがいっぱいの自然しかない土呂久ですが、実はここは以前公害に悩まされた場所。
土呂久砒素公害――教科書にも載っていたので名前を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
自然の恵みを受けて細々と暮らしていたその山深い集落は鉱業の発展により大いに賑わいますが、公害でたくさんの方が病気になり、亡くなり、今またもとの自然とともに暮らす生き方に戻っています。種をくれたシンイチさん夫婦も公害と裁判で戦ってきました。
文明の便利さも恐ろしさも知っている山奥の小さな集落。自然が豊かで静かな集落ですが、実は自然とともに暮らす生き方をずっとずっと昔に選択していたのでした。


土に根を下ろし 風と共に生きよう
種と共に冬を越え 鳥と共に春を歌おう
出典:「天空の城ラビュタ」より

今さまざまな問題で揺らいでいる私達にとって、土呂久の歴史はそんなフレーズとともに心に迫ってきます。
桜の花が散った頃、種を譲り受けに伺うと、シンイチさんは桜の花を塩漬けにしていました。他にもタケノコを干したり、塩を桜で染めたりと自然の恵みを届けている姿がとても素敵でした。
春のぽかぽか陽気の下、そそくさと用意された庭のテーブルで自家製のヨモギ餅をいただきながら奥さんのマリコさんと一緒にいろんな話をしました。
その集落で大切に受け継がれてきた大豆。麻を植えたあとに植えたのでずっと「麻尻(あさじり)大豆」と呼んできたそうです。普通の大豆よりもとても小さい大豆。種を無償で分けていただくのと同時に「豊作だったら倍にして返す」と約束して別れました。つまり、また訪れる理由がちゃんと用意されているのです。

譲っていただいた最初の年は記録的な日照りで予定の2割ぐらいしか芽が出ませんでしたが、やはり種を用意して一度伺おうと思っています。

日々からの品々

ごはん豆



2013.05.18はじめまして